SDGs Design
International Awards 2019​

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SDGs Design International Awards2019は、14の国と地域、88の大学から223件の応募が寄せられました。 2020年3月14日、最終プレゼンテーション・表彰式を行いました。世界中に感染の広がっている新型コロナウィルスの影響で、海外のファイナリスト・審査員の来日が難しくなり、世界6カ所をリモート会議システムでつないだ、無観客での審査会となりました。​

イレギュラーな環境でのプレゼンテーションの実施となりましたが、ファイナリスト5名と企業グラント受賞者による作品は、それぞれが若い感性にあふれ、未来のために社会課題を解決する熱意のこもったものばかり。

当日、プレゼンテーションを経て、厳正なる審査の結果、以下のように各賞が決定しました。​

募集テーマ

A
気候変動に具体的な対策を

自然災害による被害の
対策につながるデザイン

日本では、台風や梅雨期の豪雨による河川の氾濫、高潮被害、土砂災害など自然災害が頻発していますが、こうした災害は世界の多くの地域で発生している問題です。世界でその対策を講じる必要があります。そうした理由から、ここでは台風や豪雨のような自然災害による被害の対策につながるデザインを募集します。

B
海の豊かさを守ろう

美しい海の豊かさを
守るためのデザイン

世界の海はつながっています。そのため、近くの海の汚染が地球の裏側にも広がります。プラスチックなどの漂着ごみの被害や赤潮の発生による海の汚染、漁業被害が深刻化している中で、海の豊かさを守り、長期にわたって美しい海と資源が守られるようなデザインを募集します。

C
パートナーシップで目標を達成しよう

国籍、民族、年齢を超えて
多様な人が共生するためのデザイン

ダイバーシティや女性や高齢者の社会参画は、国や地域に関係なくこれからの社会の活性化のために必要不可欠な課題です。年齢、性別、障がい、人種、民族、あるいは経済的地位やその他の状況に関わらず、多様なわれわれが、安全で平等、そして幸福な社会を共に築くためのデザインを募集します。

企業グラント

おかげさまで創立15周年15thANNIVERSARY

<テーマ>

キャッシュレス時代における
銀行店舗の新しいデザイン

<研究奨励金>

20万円

賞 金

金メダル
最優秀賞 1組 30万円
銀メダル
準優秀賞 1組 20万円
銅メダル
優秀賞 1組 10万円
ファイナリスト
特別奨励賞 2組 5万円

審査員

  • [ 審査員長 ]

    平井 康之

    九州大学大学院
    芸術工学研究院

    教授

    (写真:川本聖哉)

  • [ 審査員 ]

    Hua Dong

    英国ラフバラー大学
    デザイン学

    教授

  • [ 審査員 ]

    加藤 公敬

    公益財団法人
    日本デザイン振興会

    常務理事

  • [ 審査員 ]

    Clare Brass

    Department 22

    ディレクター

  • [ 審査員 ]

    永井 一史

    ㈱HAKUHODO
    DESIGN

    代表取締役社長

金メダル 最優秀賞

EXTENDED ISLAND

リーダー: Tang Zhongyu
Zheng Qingqing, Xu Mengting, Zhang
Qing and Miao Wenqi
(Zhejiang A&F University)

Zhongyu Tangの写真

20世紀以降、都市化、産業化、人口過多の更なる拍車によって土地資源はますます切迫し、沿岸地域では特にその傾向が甚だしい。 都市開発の必要を満たす土地が足りないときに、海の干拓事業が時勢の要請に伴い生じるようになった。海の干拓拡張事業は、海水汚染、干潟の生態系破壊などの深刻な海洋生態系の問題を引き起こしており、人間は最終的にその結果を受け止めなければならない。このデザインは、中国で20年以上干拓を行っている浙江省、温州市、霓屿岛が直面する課題に焦点を当てています。この島にある既存の海苔養殖産業から始め、このデザインは、海の干拓の生態系回復の技術を考え、海水を浄化し、潮間帯を回復させて持続可能な産業へと発展させる試みです。 私たちは、これが海の干拓で引き起こされた生態系の問題を軽減するだけでなく、この島の社会的・経済的環境を発展させることを試みています。持続可能な発展には世代を超えた追求が必要です。私たちは、美しい世界のために何かをしたいと思います。

審査員講評

単に近隣の海を守るだけではなく、自然的解決と社会的解決の統合により新たな価値を生み出す可能性がある点、地域コミュニティの参加による持続性のあるデザインとなっている点を評価した。人間中心デザインから生命中心デザインへの広がりを感じるところも良い。

銀メダル 準優秀賞

THE MOBILE FOOTBATH

リーダー: 伊藤まゆみ (東京工業大学)
森山陽介 (九州大学)
Jinwook Hwang (Aalto University)

伊藤まゆみの写真

移動式足湯The Mobile Footbathは都市の中にある多様性へアクセスし、つなぎ、社会的包含を生み出す装置です。私達は似た属性や所属の人との小さな輪を超えて関わる機会を思ったほど持っていません。足湯の周囲では不思議とその輪を超えた対話が自然に生まれます。実際に開いたイベントでは、多様性のある社会の一員としての実感とリラックスを、この足湯のモビリティで都市の隅々に届け、社会的包含を実感することができました。

審査員講評

多様な人々は必ずしも平和な関係になく、相互理解の推進が求められている。言葉ではなく行為で、人と人を近い距離で結びつけるデザインになっている点を評価した。日本的な発想だが、日本だけではない異文化交流への貢献が期待される。

銅メダル 優秀賞

Capricious Growth,
Tenacious Growth

リーダー: Fu Yifan
Cheng Qiuyi, Zhao Yehua, Li Pengpeng and Zhou Yadi
(Zhejiang A&F University)

Fu Yifanの写真

近年、广西、防城港市にある企沙镇の漁村は、台風や海面上昇の危険にさらされていす。私たちは、古来の方法に習い、泉州市にある洛陽橋が何千年にもわたり崩落しない秘密を調査し、それを巧みに牡蠣由来の土台として変容させました。また、惠安のことわざにある竹と牡蠣を用いた頑丈な土台を修復に生かす方法から現在に活かしました。 牡蠣は、生物の方法として、 漁村の生存と生産面に生態系で重要な役割を果たしています。私たちは古来の方法で新しい問題を解決しようとしています。牡蠣を植えることで土台を強化することは、脆弱した生態系の耐性の問題を効果的に解決することができ、漁村の抱える経済産業の不均衡の課題解決にもつながります。そして、生態系の耐性、災害防止耐性、そして漁村の社会的耐性を構築することができます。牡蠣は、人間と自然との調和、そして、知恵の美、美しい中国の景観と調和と結びついています。

審査員講評

牡蠣の殻を使用することで持続的な海岸景観保全になっている点を評価した。従来の人工物建設中心からの発想の転換は重要であるが、安心安全とのトレードオフや自然との関係性の変化を考えさせるデザインである。

ファイナリスト 特別奨励賞

Baby Cocoon

Lilith Reiß
(University of Applied Sciences Darmstadt)

LilithReissの写真

事故や災害時には助けや支援が必要ですが、特に乳幼児は親に依存しており、切り離すことができません。特別の保護を約束するには乳幼児を守る仕組みを作り出すことが大事です。それにより親は移動時や休息を取る際にも乳幼児を守ることができるようになります。下支えするおむつの袋で、乳幼児は人間工学的に座る姿勢に落ち着くことができます。覆い部分は、すぐに独立して親の腹部に装着できるため、腕は十分自由に動かせます。これによって親と乳幼児は直に身体接触をすることができます。直接のコミュニケーションには、折りたたみ式の頭部覆いを使い、授乳が容易にできます。ボウルは、おむつ換えに使用でき、緊急時には乳幼児の囲いとしても使用できます。また、赤ちゃんに必要な道具や書類などはおむつ入れの中に収納でき、色の合わせたカバーに、それに合わせたおしゃぶり携帯紐もあります。Baby Cocoonのデザインは、抱きしめる姿勢から着想を得ており、乳幼児を常に守り、子宮の安心感を思い出させます。 Baby Cocoonは確実に子供を全方位から守ることができ、実際的にも美学的なデザインからみても日常生活で使用できます。

審査員講評

避難に日常から備えるデザインであり、避難行動から避難所生活まで、人間環境と自然環境の両方のSOSの解決が考えられている点を評価した。このようなデザインが単に商品ではなく、多様な市民を守るデザインとして一般化することを期待する。

TOMODACHI CONNECTION

リーダー: 田中遼太
若原千有希, 小倉範子 、原竹凌太朗
(九大芸工バングラデシュ調査チーム)

田中遼太の写真

テーマは「ロヒンギャ難民と地域住民をつなぐ、交友関係見える化ツール」。バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプを対象に、民族間の問題解決を目的としたデザインを行う。現地の人の特徴「共通の知人がいるとわかると急速に打ち解ける」を起点とし、子どもがネームプレートを用いて友人関係を視覚的に捉えられるツールを考えた。難民と地域の子供の交友関係により、異民族が手を取り合うきっかけとして機能することを期待する。

審査員講評

難民キャンプのような過酷な環境で取り残されがちであろうと考えられる子どもたちに焦点を当て、お互いが知り合い、助け合えるコミュニティを作るデザインになっている点を評価した。

企業グラント賞 企業グラント賞

くっつくばんく

木村紗彩
(九州大学)

木村紗彩の写真

「くっつくばんく」は、銀行・若者・地元企業が交流できる屋台をデザインした。屋台はカフェトーク形式で利用でき、業界研究を行う若者とのマッチングを行う(空き時間は一般客利用可)。企業と気軽に繋がれる場という認識は、若者が銀行に足を運ぶ目的の多様化を図れ、企業も地元に理解ある意欲高い人材確保が期待できる。銀行も、若者にローンの情報などを目に触れさせやすく、就職後も続く関係性を獲得できる機会となり得る。

西日本シティ銀行
講評

この度は、応募頂きありがとうございました。数多くの作品の中からグラント賞には、銀行が屋台で、そこに様々な人や情報が集まり新しいビジネスが生まれるといった福岡の地元感とワクワクする銀行店舗がイメージできるアイデアを選定しました。